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zoom RSS 07 全英テニス男子決勝 フェデラーVSナダル

<<   作成日時 : 2007/07/11 01:32   >>

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 フェデラーがウインブルドン5連覇を達成したが、薄氷を踏む思いの勝利だったのではないだろうか?
 第1セットと第3セットはタイブレークでフェデラー、第2セットは6−4でナダルが取って第4セットを迎えていたが、ここまでにフェデラーが2つのセットを取れたのは彼のサーブ力のおかげだったと思う。大事なポイントでサービスエースが何度も炸裂したのは、ストロークの打ち合いを避けることができたという意味でもフェデラーを救った。フェデラーのバックハンドから放たれるドライブ気味のスピンと、よく滑るスライスが、芝生の上で十分にその威力を見せていたと思うのだが、ナダルのフォアを崩すことはできなかった。ストロークでナダルから容易にポイントを取ることはできなかったのである。さらに、強打してスピードがあるだけのアプローチからネットに出ても、ベースラインのはるか後方から打つナダルのパスに抜かれてしまう。フェデラーのネットプレーは1級品だが、それでも慎重なアプローチが必要だった。このような状況で、タイブレークに持ち込めたのも、タイブレークでセットを取れたのも、サービスエースを取れるサーブ力のおかげだった。
 第4セットでは、集中力を欠いたプレーも見せてナダルに先行されたが、ナダルの右膝の負傷から状況は変わった。負傷後のプレーでも何とか第4セットは取ったナダルだが、第5セットでは負傷の影響を隠すことはできなかった。長いラリーは避けて早めにポイントを取ろうとしていたが、各ショットの威力も落ちたのは、それまでフェデラーに打たせなかったショットを第5セットから許し始めたことから明らかなように思う。例えば、ナダルがベースラインの中央付近からストレートに打ったフォアのボールを、フェデラーがダウンザラインのコーナーに打ち込んでエースになったショットが第5セットには数本あったが、これは第4セットまでにはなかった。ナダルのショットの威力が落ちたから打つことができたのだろう。また、ナダルのバック側に入れようとするセカンドサーブを回り込んでフォアで強打し始めた。このリターンを第4セットまでにフェデラーは度々試みていたが、ポイントにつながるようなショットは打てていなかった。ナダルのサーブのキレが良かったことに加えて、スライスを多くかけるなどの工夫もして、フェデラーに余裕を与えなかったからである。しかし、第5セットでは気持ち良くセカンドサーブをたたいてポイントにつなげていた。ナダルが威力のあるサーブを打てる状態になかったからである。
 第5セットを6−2で取って勝利したフェデラーが、ナダルの故障後の変化を最も良くわかっていると思うのだが、それでも彼の勝利の価値が変わることはないだろう。第5セットまで持ち込めたのも彼がサービスで見せた集中力の賜物であろうから。
 ハードヒッターらしからぬタッチボレーも見せていたナダルは大きなチャンスを逃したように思う。膝の負傷が疲労によるものかどうかはわからないが、慢性的なものにならないようにしてもらいたいものだ。人間離れした体力を持っているかと思われたナダルが、決勝戦のクライマックスで故障に苦しめられたのは皮肉だが、それまでの彼のプレーが芝のコートのチャンピオンにふさわしいものであったことは間違いないように思う。
 
 
 ウインブルドンでは今年からチャンレンジ権?という再審要請の権利を選手が行使できるようになった。精度が高いと言われる鷹の目にちなんでか hawk eye system(鷹の目審判とでも言ったらいいのかな)というものを使って、ミリメートル単位でボールの着地点をはじき出す問答無用の判定が出せるようだ。選手が通常の判定に疑問を持つ場合は、1セットに3回までこの機械による判定で人による判定の確認ができる。機械の判定により選手の疑問が正しく、人による判定が誤っていた場合には、その後に確認できる回数が減ることはないが、逆の場合はこの権利を行使できる回数が3回から2回へ、2回から1回へと減っていく。
 結論から言うと、この新しい制度は素晴らしいと思う。英国らしいウイットに富んでいる。おそらく技術的には全ての判定を機械で自動的に出すことも可能だろう。しかし、ラインパーソンもテニスというゲームを成立させる重要な役割があるとして彼らの判定を尊重しつつも、おそらくは常人よりはるかに優れた動体視力を持つ選手たちに判定を確認する機会も与えるという極めて民主的なシステムであり、さすが議会制民主主義が発達した英国ならでは思う。
 選手が確認を要求すると、軌道を描いたボールがコートへと落ちていく画像が出るのだが、コートに落ちるまでの間の「本当はどっちなんだ!」というスリルと完全無欠の判定に対するワクワク感を観戦者が共有できて、なんとも楽しい。恐らくは天文学的な年収を得ている選手も、基本的にラインパーソンによる判定を尊重しなければならず、選手がどうしても必要と感じる場合には鷹の目審判の判定を仰ぐことができるが、間違っていればペナルティーを受ける。このルールは、個々の人間を大事にした人間中心の見方がなければ考えつかないだろう(米国ではありえないな)。

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“Little Mo”, Maureen Connolly / リトル・モー 〜人生の言葉〜
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コメント(2件)

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別にイギリスだけじゃないですよ。
最初に導入したのはオーストラリアの大会だし。
名無し
2009/01/14 21:53
名無し 様

ご指摘を感謝する。
調べてみたところ、2006年3月に米国のトーナメントで初めて導入され、グランドスラムでは同年の全米オープンから採用されたようである。
全豪と全米は地上波で放送されなくなって久しいとはいえ、当方に情報不足と多少の偏見があったことは間違いないだろう(当方には英国人のほうが、米国人より共感できる点が多い)。全米と全豪で同システムが行われている様子も気軽に見てみたいものだ。
ssssrrii
2009/01/15 00:49

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