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zoom RSS 09 全米女子決勝 クライシュテルスVSウォズニアッキ

<<   作成日時 : 2009/09/24 23:19   >>

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 2005年に全米優勝を遂げたクライシュテルスと、グランドスラムの決勝を初めて経験するウォズニアッキの対戦は、7-5、6-3でクライシュテルスが制した。
 結婚、出産、育児による約2年半のブランクから復帰したクライシュテルスは26歳でシングルス通算34勝の実績を持つベテランである。対するウォズニアッキは19歳で、ツアー4年目、シングルス通算勝利6勝、現ランキング10位の若手だが、試合は激しい攻防が見られる展開になった。
 第1セットではクライシュテルスが2ゲームを先取すると続いてウォズニアッキが4ゲームを連取するが、クライシュテルスが2ゲームを取り4-4のタイにする。第9、第10ゲームはお互いにブレークをし、第11、第12ゲームを取ったクライシュテルスが第1セットを奪った。第2セットは第6ゲームをウォズニアッキがブレイクされた以外はキープが続き6-3で終了した。
 

第1セット第1〜第3ゲーム

 クライシュテルスのサーブで始まったゲームは、ウォズニアッキのフォアからセンター深くにリターンされて高く弾んだスピンボールを高い打点で逆クロスへ叩いたフォアのエースでクライシュテルスが最初のポイントを取った。その後の展開を見ると、ウォズニアッキはクライシュテルスのバックハンドにボールを集めて、フォアは高い打点で打たせない意図が見られたが、彼女のストロークはただ粘ってるだけというものではなかった。よく回転のかかったムーンボールとフラット気味の強打の他に、通常のストロークでは球筋が似ているために見分けにくいのだが回転数が異なり、高くバウンドするボールと普通にバウンドするボールの2種類を打つ。これら4種類のストロークを使い戦略や状況に応じて展開していく。

 例えば、1打目にクロスで相手のバックに普通にバウンドする通常のストローク、2打目も同じくバックに高くバウンドするストロークを入れると、3打目はバックハンドでダウンザラインに普通にバウンドするストロークを入れてエースを狙うなどだが、同じ場所に同じストロークを続けるということはほとんど無いので、ストローク戦で相手は余裕を持って打つことができない。同時に、一定の打ち方を続けられず常に微調整を必要とされるのでショットの安定性が低下する場合もある。ウォズニアッキは準決勝で米国のウダンを退けたが、ウダンが望んだストローク戦で第1セットは6-2、ウダンが対応してきた第2セットも6-2で勝てたのは、”ウダンのバックにストロークを集め、フォアは走りながら打たせる”という戦略(おそらくはウダンのフォアハンドには威力があるがそれは一定の条件がそろった場合が多いという分析に基づいた)を多彩なショットを使っていろいろなバリエーションで実行したこと、そしてウダンのショットの安定性が低下させられたためである。

 試合序盤、クライシュテルスはバックハンドへくるストロークに対応してダウンザラインへのエースも決めるなどして、第1ゲームをキープし、第2ゲームはブレイクして連取した。しかし、第3ゲームになるとクライシュテルスのバックハンドにミスが目立ち始める。第3ゲームの第1ポイントはストローク戦からウォズニアッキが、クライシュテルスのバックハンドへ高くバウンドする通常のストロークを入れ、続けて同じくバックへムーンボールを送るとクライシュテルスがダウンザラインへのエースを狙いネットしてポイントを失う。2ポイント目はダブルフォルト、3ポイント目はクライシュテルスのフォア深くへ高くバウンドするストロークを入れ、続いてフォアへ普通にバウンドするショットをサービスライン付近へ入れてから、バックへ高くバウンドするボールを深めに入れるとクライシュテルスのバックハンドがバックアウトする。0-40になるがクライシュテルスはサービスエースなどデュースへ持ち込む。続くポイントでは、ウォズニアッキはクライシュテルスのバックハンドへムーンボールを送ると短くなった返球をストロークエースで決める。クライシュテルスはブレイクポイントを強力なサーブで逃れるが、2回目のデュースでも、ウォズニアッキがバックへ普通にバウンド→高くバウンド→普通にバウンドとストロークを3本続けてからダウンザラインに強めのアプローチを入れてネットでポイントを先取する。続くポイントは相手のストロークアウトでウォズニアッキがブレイクバックするのだが、彼女がストロークの組立で相手を崩し、時にはネットプレイを絡めてポイントする頭脳的なプレイヤーであることがわかる。


第1セット第4〜第6ゲーム

 第4ゲームはウォズニアッキのサービスゲームになる。サーブは爆発的と言えないが十分なスピードがあるフラットとスライス、回転が十分なスピンを打ち分ける。フォアへのスライスサーブとバックへのスピンサーブを主体として散らしていたが、リターンの強打を封じてストローク戦に持ち込むだけでなく、サーブの種類とストロークの1打目のコンビネーションも考えている。このゲームをキープすると続く5ゲームもバックハンドのミスが目立つクライシュテルスのサーブをブレイクする。
 第6ゲームはウォズニアッキは自らのストロークアウト2本と、アクセントに入れたバックサイドへのフラットサーブをハードヒットされて失ったポイントで15-40とブレイクポイントを握られる。続いて、ストローク戦から相手のバックへのハードヒットしたフラット気味のストロークに続けて送った高くバウンドするストロークをクライシュテルスにドロップショットをされるが、素早く対応してフォアのストロークエースを決めるなどして、デュースに追いつく。それまではバックへのスピンサーブを相手に意識させていたのだが、ここで意表をつくようにフォアへスライス回転のサーブを2本続けてどちらもサービスポイントとなりウォズニアッキがキープした。



第1セット第7〜第9ゲーム

 サービスゲームを2つブレイクされて第1セットを2-4でリードされたクライシュテルスは、第7ゲームでは戦術を変更して散らしていたサーブをウォズニアッキのフォアに集めてきた。このゲームではデュースも含めて10回サーブ(1stサーブ7本、2ndサーブ3本)を入れたが、そのうち9回は連続でフォアハンド側へ、球種も半分以上はフラットサーブを入れていた。その目的は、ストローク戦を避けることにある。両手打ちのバックよりも片手打ちのファオのほうが強烈なリターンが少ないので、甘いリターンを叩いてポイントを取れる可能性が高い。しかも9回も続けられると相手もサーブの予測をつけ難くなる。
 このゲームは15-30から、ウォズニアッキの甘いリターンを引き出したがバックハンドでダウンザラインのエースを狙ってアウトしたため、15-40となりブレイクポイントを握られた。しかし続くポイントはバランスを崩されながらもバック側へ返したウォズニアッキの甘いリターンを、フォアに回り込んで逆クロスに強打して短くなった返球をボレーで決めた。次のポイントでは同様のリターンをフォアに回り込んでダウンザラインへ強打して優位を得てから甘いストロークをフォアの逆クロスでエースを取りデュースに持ち込む。サーバーのアドバンテージで迎えたこのゲーム10ポイント目は初めてバックに入れたフラットサーブにウォズニアッキは全く対応できずにネットアウトしてクライシュテルスがサービスをキープした。
 クライシュテルスが自分の武器であるフォアの強打を生かせるようにサーブの傾向を変え、それを徹底してやり抜いたところに勝負どころでの決断力の強さを感じた。

 第8ゲーム、サーブからストロークを優位に進めようとするウォズニアッキだが、力が入ったのかストロークアウトを2つ続けて0-30となる。次のポイントは長いラリーになったが、相手のフォアへ低いボールを送りクロスで待ち構えていたウォズニアッキがダウンザラインへ強打して甘く返ってきた返球をドロップショットする。クライシュテルスに拾われてネットに詰められたところで、ロブをライン際に落としてウォズニアッキが1ポイントを返した。しかし、クライシュテルスがバックへのスピンがよくかかった2ndサーブを初めてダウンザラインにリターンしてブレイクポイントを握ると、ウォズニアッキがフォアへのスライス気味のサーブを続けてフォルトする。このダブルフォルトによりブレイクを許してゲームカウント4-4のタイとなった。
 
 第9ゲームは再びサーブのコースを散らしたクライシュテルスが40-15とするが、スライスリターンやコーナーにムーンボールを入れる相手の攻撃に対してストロークアウトを続けてデュースに持ち込まれる。次のポイントではフォアへの1stサーブをリターンで強打され(結果はアウト)、さらにバックへの2ndサーブをバックへフラットリターンを入れられている(クライシュテルスの返球がアウト)。ウォズニアッキがサーブにプレッシャーをかけて、リターンからのストローク戦を優位に進めようとしているのだ。2回目のデュースでは、ウォズニアッキがフォアへ来た2ndサーブをクライシュテルスのバックへ高くバウンドするリターンを入れてから、続けて同じくバックへ普通にバウンドするストロークを送ると返球がネットアウトしてブレイクポイントとなる。ここでクライシュテルスはバックへのフラットサーブからアプローチでネットに出るが、ロブを上げて自らのネットにつくウォズニアッキのボレーを返せずにブレイクされた。4-4に追いつかれたウォズニアッキが様々なショットを駆使してブレイクバックした点に、アイデアの豊富さと技術の高い精度が見られた。


第1セット第10〜第12ゲーム

 第10ゲームを5-4で迎えたウォズニアッキがサーブスゲームをキープすると第1セットを取ることになる。この重要なゲームの最初のポイントは26回のラリーになった。クライシュテルスが放った13本のショットのうち9本がバックハンドだったのだが、ほとんどが十分な深さと強さがあるショットだった。2本だけあった甘いショットに対してはウォズニアッキがすかさず反撃を試みたのだが、主導権を取り戻して最後はバックハンドからクロスへ角度をつけてクライシュテルスがエースをとった。それまで有効なショットが打てなかったバックハンドで打ち勝ったクライシュテルスに勝利へ執念と集中力の高さが感じられた。次の2ポイントは相手のフォアへスライス気味のサーブを入れてからのストロークエースで連取したウォズニアッキが30-15としてセットポイントへあと1歩とする。ここでウォズニアッキはバックへフラットサーブを入れるのだが、力のあるリターンをベースライン際に返されてポイントを失う。次は、バックへスライスを少しかけたサーブを入れたが、クロスへハードヒットされる。何とか返球したウォズニアッキだが、ネット前からストロークエースを決められて30-40となりゲームポイントを握られた。ここでバックへ高くバウンドするスピンサーブを入れるがラリーからクライシュテルスにフォアの強打をクロスに打ち込まれてゲームを失う。
 バックハンドを持ち直してきた相手に対して、さらに変化を交えてバックハンドを攻撃するウォズニアッキだが、それを切り返すクライシュテルスのフットワークとショットが見事だった。

 第11ゲームではクライシュテルスが相手のフォアヘのサーブを3本続けたのだが、それに対応したウォズニアッキが逆に相手のフォアへ変化をつけたストロークを集めて30-15とする。次のポイントはクライシュテルスのバック側のライン際にウォズニアッキがムーンボール風のリターンを入れて、ストロークアウトを引き出して15-40のブレイクポイントになった。しかしクライシュテルスはフォアハンドの強打をクロスに入れて、押された相手が態勢を立て直そうとバックハンド側へ送ったムーンボールを回り込んでフォアの高い打点から逆クロスの強打を入れてブレイクポイントを一つ逃れる。続いてフラットサービスをバック側の厳しいコースの入れて、返ってきただけリターンからポイントを取りデュースに戻す。その後2度目のデュースでサーブ→アプローチ→ボレーでアドバテージをとると、フォアへのサーブから甘いリターンを回り込んでのフォア逆クロスの強打でサービスゲームをキープした。
 フォアの強打とサーブで甘い返球を引き出すと一気にポイントを取りにいくクライシュテルスのスピーディーな攻撃が目立った。

 第12ゲームの第1ポイントはウォズニアッキがバックハンドのダウンザラインをアウトして失い0-15となると、次のポイントではフォアのストロークの打ち合いからクライシュテルスがショートクロスを入れて相手のストロークアウトを誘う。さらにフォアへフライスサーブに対して、普通にリターンできる状況でありながら初めてスライスリターンを入れると意表を突かれたウォズニアッキがミスショットを犯して0-40のセットポイントを迎える。ブレイクポイントを逃れるために相手のバックに高くバウンドする回転量が多いスピンサーブを入れたウォズニアッキだが、深いリターンを返されて甘くなった返球を、クライシュテルスに回り込んでのフォア逆クロスを強打されてブレイクを許して、第1セットを失う。
 第1セットを取るためにはこのゲームを落とすことができない相手の集中力が増しているだろう状況で、フェイントをかけるようにフォアのショートクロスとスライスリターンでポイントを連取するところが心憎い。クライシュテルスの冷静な判断が光ったゲームだった。


 以上、第1セットを比較的詳しく振り返ってみた。両選手が自分の武器(ウォズニアッキのプレイの多様性、クライシュテルスのサーブとフォアの強打)を生かすために、精神力(知性と集中力)と技術、体力をフル稼働させてせめぎ合う点にも見応えがあったように思う。
 続く第2セットも一方的な展開にはならなかった。クライシュテルスのサービスゲームである第1、第3ゲームではデュースになったのだが、ダウンザラインのストロークエースなどで、ブレイクを許さなかった。第2セットで唯一のブレイクゲームとなった第6ゲームは、第1ポイントでサーバーのウォズニアッキがバックハンドのラリーからダウンザラインへスライスのアプローチを入れてネットについたが、軽快なフットワークが衰えないクライシュテルスにダウンザラインへのパッシングショットを決められた。続く第2ポイントでは、バック側にきたボールに回り込んでダウンザラインへフォアの強打のアプローチを入れて再びウォズニアッキがネットについたのだが、今度はクロスにパスを抜かれ0-30となった。クライシュテルスの変わらぬフットワークと強打が相手の変化にも対応して威力を発揮していることがわかるポイントだった。
 クライシュテルスがリードした第2セットだが、ウォズニアッキも容易に屈しないガッツあるプレーを見せて、最後まで緊張感みなぎる好試合の決勝戦となった。

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